有効な戦術をブログに書きづらい理由 | ゆうゆーのテニスブログ

有効な戦術をブログに書きづらい理由

ダブルスで、相手が並行陣、こちらが雁行陣という状況だとします。
例えば、相手(並行陣の後ろ側)がこちらの後衛を外に追い出すような、角度のあるボレーを打ってきた時に、こちらの後衛はどこへ返球するのが正解だと思いますか?

この他にも、こういう状況ではどこにどういうボールを返球したらいいとか、そういう解説が聞きたい! という声って結構あると思います。それはよく分かります。
よく分かるんですが、それを私がここでブログに書くことにどれほどの意味があるだろうか? と思ってしまうんですよね。
もちろん、基本となる返球場所というのはあるにはあるでしょう。
ダブルスのリターンでは、基本はクロスへ打つというのは誰でも知っていると思います。
またダブルスではセンターセオリーといって、特に相手が並行陣の場合は迷ったらとりあえずセンターへ打っておけ、みたいなこともよく言われますよね。

でも、これを丸暗記したところであんまり意味がないと思うんです。
基本はあくまで基本でしかありません。


自分、自分のペア、そして相手ペアの4人全員がフォアもバックもそれなりに打てて、若干フォアの方が得意で、ボレーもそれなりに打てて、サーブもリターンもそれなりに打てる。
プレースタイルも、特段変わったことをしてくるわけではない。
また4人全員、レベル差は特に無い。
そして、それまでの試合展開も特筆するものがなく(例えば「今までずっとバック側に球を集めてきた」などが無く)、風も大して無く、全員体力は充分に残っていて足もつっておらず、どちらかのサイドで太陽がまぶしい等の特殊事情も無い。

そんな条件が揃った試合がどれだけあるだろうか? ということです。


4人のうち誰か1人でもレベル差がある人がいるだけで、基本は基本でなくなりますよね。
例えば、自分のペアのレベルが極端に落ちるならきっと相手はそこを突いてくるだろうし、そうなればこちらのポジショニングだって基本の位置から変えないといけません。

逆に相手ペアにレベル差がある場合は、基本のセンターセオリーを守るよりも、弱い方にボールを集めてゆく方が有効に決まっています。
ボレーが全く打てない人が前衛なら、全球ストレートへリターンするのが最善の策になります。
もちろん相手もそれを分かっているので、頭を使っている相手ならダブル後衛を取ってきたり、強い方は普段以上にしゃしゃり出て、ペアのボールを横取りしに来るでしょう。

こんな状況では、教科書通りの戦法なんてもはや何の役にも立ちません。
実際はここまで極端な試合は少ないかもしれませんが、全てを基本通りにやるのがベストだという試合だって同じように少ない。


じゃあ結局、どうすればいいんだよ!

ということですが、どこへ打てばいいか、どういう戦法を取ればいいか、その時のいろんな状況を踏まえて自分の頭で考えること。これしかありません。


冒頭の例に戻ってみましょう。

相手(並行陣の後ろ側)がこちらの後衛を外に追い出すような、角度のあるボレーを打ってきた時に、こちらの後衛はどこへ返球するのが正解なのでしょうか?

相手ペアの特徴、それから自分の得意なコース(ストレートが得意か、ショートクロスが得意か、など)、相手ペアのポジショニング、それから同様のシーンで今まで打ってきたコース(同じコースだと読まれている可能性が高い?)などを踏まえて、自分で判断してください。
それが答えです。

決して投げやりで言っているわけではなく、本当に強くなりたいならそうするのがベストだと思って言っているんです。
仮にその状況を上級者が見ていたとしたら、後で聞けば「ここに打つべきだった」と教えてくれることでしょう。あなたが若くてかわいい女の子なら絶対に教えてくれますし、そうじゃなくてもたぶん教えてくれます。
そうやって聞いた答えは確かに正解かもしれませんが、その状況においての答えを知ったところで全く同じ状況はもう二度と来ないだろうし、たとえ来たとしてもその時にその答えを覚えていて実行できているとは到底、思えません。


結果的に判断が間違っていてもいいから、とにかく自分の頭を使ってどこに打つべきかを考えることです。そうやって考えることも重要な練習です。
仮に間違っていたら、「ああ、これでは上手くいかない」と身に染みて感じることでしょう。
頭で覚えることは、体で覚えることに適いません。


こうやって言葉で書くと、考える要素が多すぎてすごく難しそうに感じますが、確信が持てないながらも自分で考える習慣をつけていれば、そのうち自然と妥当な判断ができるようになってきます。
そうやって身に付けた状況判断力は、基本を丸暗記するよりも遥かに実践で役立つこと請け合いです。
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コメント

No title
確かに考えることをやめてはいけないですね。

先週、草大会に出たのですが、相手がリターンを選択したので、自分はコートの選択権があったのですが、曇りだし一見条件は同じだと思い、考えることをやめてしまいました。
また、ノンアドの試合でデュース時、いつもリターンはデュースサイドを取っていますが、フォアハンドが得意だから見たいな固定観念でこれも考えることをしてませんでした。

最初の例はコート選択権は、実は自分のサーブコート側に観客がいて、話し声がうるさく、少し集中を乱されました。

デュースサイドはそもそも自分のことだけで相手のことを考えていません。自分が回り込みフォアが得意で、相手がバックハンドが不得手ならアドコートもありですよね。

常に頭を使って考えないと考える相手には勝てません。
Re: No title
リターンサイド選択はシングルスでも、ダブルスでもかなりの重要どころですね。
もちろん自分の得意/不得意も選択の際の大きな要素ではありますが、それだけしか考えないのでは不十分な時もあるでしょう。

サーブ/コートの選択だって、それだけで結果が大きく変わることは無いかもしれませんが、わずかでも有利な条件で戦えるなら当然、考えることをサボるのはもったいないですね。

そして何より「考える習慣をつける」という意味合いもあって、実はそっちの方が大きいかもしれません。

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